心理的安全性とリーダーシップ

村瀬俊朗さんの解説を読みながら、後半、リーダーシップについて書かれていて、面食らった。なぜ心理的安全性の話が、リーダーシップに繋がるのだろう?


前回、「信用」と「心理的安全性」の対比は、個人と集団で同じ現象が違って起きるという例。
心理的安全性」とは、社会学が探求すべき独自領域の、個人には還元できない、集団時に発生する何か?の一つである と言う話を書いた。

村瀬俊朗さんの解説を読み込むと、リーダーシップもまた従来の方法がよくなかったことが分かる。

人々は、リーダーがいると集団の生産性が上がることを自覚していた。
で、最初に目についた原因は、リーダーだった。ある特性をリーダーが備えているから、あの集団はすごいと考えた。
ところが、リーダーの特性を特定し、「○○があるとリーダーになる」と因果関係が成り立てばめでたしめでたしだった。しかし、全然特定出来なかった。
いろんなリーダーがいたのだ。

そこで次に、「リーダーとフォロワーの関係ではないか?」と推測した。集団がどういう状態の時にどんなリーダーが求められるのか?
こうなると、リーダーの必然性よりも、集団のニーズにリーダーはどう応えるか?で、リーダーのよしあしが決まると推測した。
ところがこれもうまくよきリーダーをうまく言い当てたとは言いがたかった。

平塚 知真子 「Google式10Xリモート仕事術 あなたはまだホントのGoogleを知らない」ダイヤモンド社 2020.11.
https://honto.jp/netstore/pd-book_30678207.html

によると、googleは2002年に実験として、フラットな組織を作って、生産性を検証した。結果、大失敗。マネージャーがいないと生産性が下がった。
そこで、2009年にプロジェクト・オキシジェン(酸素計画)を発動。今度はどんなマネージャーがいると、チームの生産性が上がるか?検証し直した。


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Google式「優れたマネジャーの条件」

Google マネージャーの行動規範
1.良いコーチである。

2.チームに任せ、細かく管理しない。

3.チームの仕事面の成果だけでなく健康を含めた充足に配慮しインクルーシブ(包括的)なチーム環境を作る

4.生産性が高く、結果を重視する。

5.効果的なコミュニケーションをする-人の話をよく聞き、情報を共有する。

6.キャリア開発をサポートし、パフォーマンスについて話し合う。

7.明確なビジョンや戦略を持ち、チームと共有する。

8.チームにアドバイスできる専門知識がある。

9.部門の枠を越えてコラボレーションを行う。

10.決断力がある
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村瀬俊朗さんも書かれているが、集団として「心理的安全性」を確保する作業はアートだ。こうすれば、メンバーが「心理的安全性」を確信するという正解はない。だけれども、誰かが、集団でそれに気を配らないと、できない。

私たち人類は、群れの好む性質を持った動物だ。

それを成り立たせるのは、どういう状態だったら、「心理的安全性」を確保されていると、メンバーが確信するか?がキーだったのだ。リーダーの個性でも、リーダーとフォローワーの関係性でもなかった。