ビジョンに近寄るvs苦痛から遠ざかる:メタコーチング読書会

9/14メタコーチング読書会。いよいよこの400p近くあるこの本が提唱するコーチングに合いふさわしいモデルとして打ち出された、変化軸モデルを読む。変化軸は4つの軸と8つの極を自由自在にコーチがクライアントさんとダンスするモデル。その第1回は、モチベーション軸。

メタ・コーチング

メタ・コーチング

  • 作者: L.マイケル・ホール,ミシェル・デュヴァル,田近秀敏,<,協力>,●泉本行志●稲田隆一●小屋一雄●高野潤一郎●山村佳央,佐藤志緒
  • 出版社/メーカー: ヴォイス
  • 発売日: 2010/08/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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メタコーチングによると、モチベーション軸には、ビジョンに近寄るvs苦痛から遠ざかるの綱引き運動で成り立っていると記述されている。

Ryoji☆には、この本がずっと言い続けている、セラピーモデルをコーチングに当てはめるのは無理があるの一つの根拠が、苦痛を避けるというモチベーションなんだということが鮮明。かつて1度だけ見たアンソニー・ロビンスさんのコーチぶりが思い出された。Ryoji☆がやるコーチングは寄り添って優しく、共感空間でやる感じなので、アンソニーさんのズケズケ、クライアントさんの苦痛に迫るやり方にビックリした。(セッション全体をみると、実に愛情深く、可能性を信じて関わってくれるのがわかるので、ずっと苦痛を迫ることをやってる訳じゃない。)
今になって思うと、クライアントさんはどうにかして変化させたいとは思っていたけど、「何としてもやる!」という程、「困ってどうしょうもない」って今ここで決意する準備が出来ていなかった。だから、ある種、挑戦として、「口と態度がアンバランスじゃない?私(アンソニー)にはあなた(クライアントさん)がやる気になってるって思えないけど〜」って確認していた気がする。

読書会の皆さんの反応も、ビジョンに近寄る話の付け足しで行くならやるけど、のっけから苦痛から遠ざかるコーチングはやらないと言い合っていた。ただし、苦痛を明示するのはあり。セラピーはセラピストから苦痛に触れないように、細心の注意を払う。コーチングは、クライアントさんは健全な自我を持っているので、生きていて苦痛があるのは当たり前なので、当たり前に触れる。苦痛があってもクライアントさんはそれを乗り越えると前提にしている。その視点からクライアントさんの見てる世界を一緒に見る。コーチなりのリフレーミングをシェアしながら。


そして、初めて「アンコーチャブル」という言葉の納得がいく説明を聞いた。
アンコーチャブルとは、コーチがクライアントさんとのダンスにおいて、「あぁ今はコーチングに入るのが適切ではない」と、コーチとクライアント関係における状態を理解するための言葉。だから、コーチングを学ぶ際、今コーチングが求められているのか?カウンセリングが求められているのか?コーチがクライアントさんとの関係を自覚するためにある。それを誤ってコーチがクライアントさんに「あなたはアンコーチャブルだ」と宣告してしまうコーチがいる。これは誤った使い方だし、クライアントさんに失礼でもある。
今回の「苦痛を避ける」モチベーションの確認は、セラピーでは断じてNoなやり方。クライアントさんのプロセスを無視している、第三の審級からの判断を迫る形なので、まさにクライアントさんの苦痛を増幅する可能性がある。だからこそコーチは、このコーチング関係が、お互いにとって求めている関係か?関係性をデザインする必要がある。クライアントさんが想定していたコーチング関係ではない反応を示し始めたら、関係性を再確認する、一時的にコーチングを手放して「共にいる」に、舵を切る必要がある。

初めて「アンコーチャブル」という言葉を聞いてからRyoji☆はムカムカしていた。それはコーチの容量のなさのエゴだろう。クライアントさんとCo-Activeしようとするコーチが、自らクライアントさん対象を限定してどうする!と思っていた。
こういう風に整理していただくと、コーチに必要な概念と納得する。


そして、皆さんの会話を聞きながら、それぞれの極を迫ることは、知ってしまえばそれ程難しくない。問題は、クライアントさんの反応に合わせて、ちょうど程よい具合で、モチベーションを確かめること。観察した結果をクライアントさんにフィールドバックして、クライアントさん自身が確かに「変化したい!」と思うことが主眼で、それが「ビジョンに近寄る」だろうが、「苦痛から遠ざかる」だろうが、コーチには関係ない。

綱引き運動の意味は、クライアントさんの発するエネルギーにコーチは呑まれことなく、クライアントさんと「綱引き」して、クライアントさんにとって「変化したい!」ってやる気満々のツボを押す必要がある。
現状に不満で、口では「変化したい!」と言っていても、知らない未知の領域へ踏み出すよりも、今の不満だけど、勝手知ったる領域にとどまった方がクライアントさんには安心出来る。クライアントさんが今のままでいい。だけど不満を聞いて、コーチが直感として、感じたクライアントさんの変化したいポイントは指摘出来る。一体どこがツボなのか?身体調べをクライアントさんはする。結果、一人では自覚仕切れなかった、本当の私が顔を出す。この変化をしたいのが、私なんだ、と。
そのためには、クライアントさんのエネルギーに取り込まれてはダメだ。異質性こそがクライアントさんにとって必要とされる助力。違う質感があるから、クライアントさんは一人だけの堂々巡りを抜け出せる。