仮面(ペルソナ)

今から思うと、馬鹿だったなと微笑ましくなるけど、思春期(小学校高学年〜中学生ぐらい)は仮面を身に纏って、外からの人間関係に対して身を守ろうとしていた。相手と比較すると、明らかに劣っていると感じるJijiが嫌だった。兄弟喧嘩も頻繁だった。「本当のJijiじゃないです!」と皮を被ることで、現実に直面して足掻く、受け入れがたJijiと向き合うという試練から目を背けようとした。本の世界やアニメの世界で心の均等を取ろうとしていた。
今ならそんな努力は無駄で、いくら仮面を被ろうともバレバレよって言い切れる。でも同時に今のコーチ仲間のように「いやー、そのJijiの変なところがいい!もっとどうな風にJijiはこの世界を感じているのか聞かせてよ」と言ってくれる奇特な他者は「妖しい」が合い言葉の野尻キャンプ仲間ぐらいだったけど。

大学で出会った人たちはキラキラしていた。自分でどんどん興味を持ったことに動いていた。一体Jijiは何をしたいのかわからなくて、そのことを知りたくて大学へ来たJijiにはそんな周りの人たちはみんな眩しかった。世の中には能力があって迷いも少なくドンドン歩んで、先へ進む人がいる。明らかに負けていた。(コーチ仲間だと「誰に?」って突っ込むだろうな)結局Jijiは何をしたいのか?はわからずじまい。ただ、不完全燃焼の想いだけが悶々と内にこもった。

そんな中、小学生高学年の時に大好きだった自然は素晴らしかった。大自然の中でJijiが一人で内的に作りあげたこうしたごみごみした人間関係の憂さは圧倒的に無意味だった。心をその場に開放して、新鮮な空気を体に取り込む。何も考えず、がむしゃらに歩く歩く歩くうちに、なんだかスッキリとした。

あぁ、あるがまま、心の赴くまま、とにかく行動する。意味の付与はいらない。やりたいからやる。訳もない。理由もない。ただそうしたいからそうする。夢中になってやっていたら、いつの間にか人がいて、いつの間にか輪が広がって、いつの間にか次にしたいが見えてくる。あぁ。キラキラしているってこういうことだったんなぁ。どんなに精巧で美しい仮面も、今を生きるエネルギーの前には無力。それは静止した美。美しいだけ。内から溢れる燦めきは、いろんなものがごっちゃだけど、キラキラしている。

「聴く」の本
「聴く」の本
posted with 簡単リンクくん at 2007. 5. 1
藤田 潮著
幻冬舎ルネッサンス (2007.4)
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