Presenceと承認(認知)

Dさんがブログで「コーチング人形っていうのはどう?それにはあらとあらゆるコーチングスキルが搭載され、各種センサーも常備。常に自己進化していく。そんな存在を考えた場合、生身のコーチに意味はあるのか?」といった主旨のことを書かれていて、考えさせられた。

コーチ仲間に「こんな風に生身のコーチじゃないとね」と投げると「いや、コーチング人形はその機能も持っているとしたらどう?」と言われ、ますます答えに窮してしまった。

答えは最初から「生身のコーチじゃないと駄目だ!に決まっている」だけど、考えれば考えるほど、コーチング人形いいなって思ってしまう。Jijiと違って、セッション中にコーチが泣いたりしないし、クライアントさんと一緒にグルグル彷徨ったりしないし、中断ができないってわけでもない。調子にムラがあるわけでもない。実にすばらしい。

ある面、コーチングが機能していると、クライアントはやがてコーチの存在を意識しなくなる。コーチの存在は自然と消えていく。(だから、クライアントさんから「今日のセッションとってもよかったですよ」なんて言われているうちは、コーチもまだまだなんだろう)JijiもDさんの意見に賛成。コーチなしで、セルフ・コーチングが自然と根付くってことだとJijiは理解している。

コーチング人形はだからほんと役に立つ。いつでもいいし、最高の質問をバシバシ投げてくれるし、センサー・フィードバックで「今日は通常より笑顔が30%多いです。何かいいことがありましたか?」なんて、フィードバックしてくれた日にゃ最高じゃないですか!

そこで思い出したのが、Fさんのつぶやき。「承認(認知)ってスキルじゃないんだよね」。

それだ!コーチング人形に承認されても、それは言葉のうわっつらだけ。もちろんすごく良い声で、ゆったりと承認してくれるんだろうけど、何かが欠けている。嬉しいけど、その一言をもらったらからと言って、具体的な行動へ一歩踏み出そうとするか?と言えば、きっとしない。「へぇ〜、コーチング的にはそれが自分の答えか?」と知的に理解するだけ。肩をポンって押してもらった感じはしない。

それはなぜか?

一つには、その存在そのものが、お互いに交信しあっているから。共鳴してあっているから。コーチから何かが放射されている。クライアントはそれを感じ取れる。その逆も無論ある。お互い言葉ではないレベルで、そのやりとりをしている。コーチング人形と人ではそれは存在しない。

もう一つは、励まし合い。お互いが何かを目指している存在として、お互い共通認識をしているという幻想に浸ってはいるものの、この道を歩いているのは所詮一人。どんなに一致して!と願ってもやはり一人。どんなに近しくてもこの孤独からは逃れられない。自己と他者の間にはどうすることの出来ない断絶があるのだから。でも、そんな相手の姿をみて勇気を感じ取ることはできる。こんなに怖がっているのに、この人は一歩を踏み出したんだ!すごい!じゃ、もしかしてもしかすると、私にもできるかも知れない。すごく勇気をもらえる。私もやってみようという気になる。

Jijiにとって認知とはそんな私のありようをすべて肯定してくれた感じ。

鈴木義幸コーチによると「あなたがそこに存在していることに気が付いている」=acknowledgementアクノリッジメント=存在承認ってこと。

これだけはどんなに進化したコーチング人形でも与えることができない。人と人が関わるってことの本質。

だとしたら、コーチング人形に遙かに性能が劣るJijiはどれだけ認知してきただろうか?クライアントさん、あなたがそこでその状況で必死になって生きてきたことに関して、Jijiは敬意を表します。アドバイスも忠告も助言もしない。あなたは確かにそこにいる。そして、今あなたはほんとうはどうしたいんですか?

クライアントさんのPresenceの海の中に、たくさんの気持ちたちがいる。クライアントさんが迷う時、それはPresenceの海が凍り付いた時。認知されていないので、寂しくて、辛くて、一人で静止している。コーチが認知すると、Presenceの海はゆったりと漂い、自然と内側からあるべきところへ気持ちが落ち着く。迷えば、その気持ちからこのPreseneceの海がどう見えるか?聞いてみれば、あっ!ってわかる。そしてさらにゆったりさが増す。何も力はいらない。どこかに青い幸福な鳥を探しに行く必要もない。今ここに、私の内側にこそ求めるものはある。

やっとコーチとして何を大切にしたらいいのか?Jijiにとっての軸が決まった感じがする。

あなた(の内側にあるいろんな気持ちたち)はそこにいる!

出現する未来
出現する未来
posted with 簡単リンクくん at 2006.11.13
ピーター・センゲ著 / C.オットー・シャーマー著 / ジョセフ・ジャウォースキー著 / ベティー・スー・フラワーズ著 / 野中 郁次郎監訳 / 高遠 裕子訳
講談社 (2006.5)
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