Sponsorship

クライアントに中にある種(SEED)を見いだして見守ってあげること。


もしかすると、クライアント自身、SEEDを見失っているかも知れない。ここにあるじゃん!と言ってはコーチにならないので、見えてわかっているんだけど、「で、どうしたいの」とシンプルに問いを立て、クライアントが気がつくのをじっと待つ。ほんと忍耐がいる。


問いと答えがワンセットなんて誰が決めたんだろうか?

ひょっとしたら、もう一度同じ問いを静かに問い直してもよいかも知れない。同じ質問でも、ニュートラルな口調で、単調に聞かれると、一度目に聞いたのとは別な反応が出てくるかも知れない。

「ほんとうにやりたいの?」
「いつだったらできるの?」

ひょっとすると、それをのぞき込むのが怖くて「いや。とてもそれと共にいられません」と、ジタバタするクライアントもいるだろう。もう言い訳の連発。いかにそれが困難で、自分の力ではどうにもできなくて、だから相手が変わってくれるしかなくて、でも相手にいくら働きかけて、相手は抵抗ばかりして…。

一通り聞いたあと繰り返す。「で、どうしたいの?」

ここまでくると、コーチもクライアントが一体何を答えとしているか?さっぱりわからない。でも、クライアントが答えを見つけ出す力を持っていることだけはキッパリ信じている。クライアント以上に信じている。確信している。だからクライアントを見つめる視線は力強い。クライアントもその想いは感じられる。すると勇気が湧いてくる。安心できる。自分一人だったら、とても答えなんてないと思って、解けない!解けないとパズルの前でブーたれているだけだった。でも、コーチがいてくれたら、「えっ!この問題に答えがあるの?だとしたら…」初めて自分の力に気がついて、次なる一歩を見いだす。最初は間違っていたとしても、その試行錯誤を繰り返していくうちに、だんだん自分の本質にたどり着いて来る。


ここで、もしじぶんの本当から逃げだそう。安易な答えで、この場を切り抜けようとするクライアントがいたら、コーチは鬼になる。「あんたさぁ。それがあんたのほんとうなわけ!!
」真剣に向き合っての!ってクライアント以上にコーチは迫る。それは、お相撲をクライアントと取る事かも知れない。言葉で迫ることかも知れない。その方法はそのコーチ次第。




ふゆふゆ、ありがとう。「もしあなたの本質をわかってくれるコーチがあなたの隣にいるとします。そのコーチはあなたに今何を尋ねるでしょうか?」ふゆふゆが出してくれたこの問いかけで、ずっと謎だったSponsorshipとしてのコーチがわかった。


しかし、これはとってもコーチとしての力量を問われる。「誰一人間違っている人はいない」。つまりそれは、クライアントがクライアントの問題を解く力を持っているということ。自分の力を信じられず、同じ場所をグルグル回っているクライアント。共にいるコーチは、どこまでも強く激しく、クライアントの力を直感で信じ切っている。そして同時に、コーチは答えは知らない。クライアントが答えを見いだす力があると、信じているだけ。答えを見いだすまでのプロセスをコーチは応援するだけ。はたしてクライアント以上に、クライアントの世界観で、確信を持ち続け、クライアントに伝えられるのだろうか?
うーん。頭で理屈がわかったとしても、それを実行できるか?はまた別の問題だな。


インタラクティヴ・フォーカシング・セラピー
J.クライン著 / 諸富 祥彦監訳 / 前田 満寿美訳
誠信書房 (2005.3)
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