大きな流れの中で

水。今、四国の香川で水不足。数年前、中国の黄河下流で「断流」という水が無くなってしまう現象を知ってショックだった。アメリカの地下水。オガララ帯水層。その枯渇も深刻でひどければ数千年かけてゆっくり蓄積したきた水をあと10年で使い果たしてしまうという。トルコは豊富な水を巨大なポリブクロへ入れて重要な資源として輸出しているという。最初ペットボトルに入っている水が売られているのをみて、バカなと思った。ところが今、よくペットボトルの水を買っている。

環境問題を考えるときにどうやって説得すればいいのか?根本的な根拠をうまく示せなくて、ずっと悶々としてきた。

昨日NHKスペシャルで「ウォーター・クライシス」を見て、もしかしてと思えた。

インドのパンジャブ州。年間降雨量400mmの乾燥地帯。これまで膨れあがる人口増加に応えるべく、地下水をくみ上げて農業を行い、飛躍的な食料増産を遂げてきた。ところが、50mぐらいまで深い井戸でないと、次々枯れ始めた。しかも50mを越えると、急激に塩分濃度が高くなり、塩害を引き越しかねない。井戸を掘る金もなく、隣の農家から水を分けてもらうお金も無くなった人が次々自殺を始めている。

隣のラジャスタン州。ここではNPO団体が、地域の長老から聞いた「ジョハド」=ため池作りを指導している。シャベルカーもないので、村中の人が手作業で堤を作る。このため池のおかげで、村の周りには緑が戻り、枯れた井戸にも水が10年近くかけてゆっくりと戻った。

そ、これだ。コーチングで気がつくのもこれだ。みんなつながっている。次の世代に生命を伝えるべく。そして、地下深く見えないけれど、地下水は大切だ。それを一気に使い切ることもできるけれど、少しその流れのお裾分けをもらうだけで、十分人はやっていける。大きな流れに身を任せ、その流れにお裾分けをもらう。感謝の気持ちとともに。そして、みんなでやること。確かに無力だけど。時間もかかるだろうけど。きっと共にやっていく道はある。持続可能な道へ。そうでなければ、みんなして苦しみ争いの道が待っているだけだ。静かにでも確実に気がつき、その輪にみんなを誘いたい。ホラ、耳を澄ましてごらん。こんな穏やかで感謝に満ちあふれ、みんなが笑顔になるやり方があるんだよって。

「話し合い」の新技術
堀/公俊??著
プレジデント社 (2005.7)
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