「ネズミの楽園」実験:TEDトーク

「あなたが依存症について知っていると思っていることは間違っている」のTEDトークを見て驚いた。

https://www.ted.com/talks/johann_hari_everything_you_think_you_know_about_addiction_is_wrong?fbclid=IwAR3oZlZYM8_xDgxUmQatChjOdZ7k6nUfdhL3Ot9RgROGgYdCtvwKX5R5Q2Q#t-336898

現在、イギリスやアメリカ、日本の法制度上では、「薬物依存は中毒性が高く、危険だ。従って、厳罰を持って禁止する」となっている。

依存症の治療を探すうちに、そもそも厳罰化の根拠になった20世紀初頭のネズミの実験に疑問を持った科学者を見つけた。
元々の実験とは、水入りのボトルと、麻薬入りのボトルをそれぞれ用意し、檻にネズミを閉じ込め観察した所、95%のネズミがやがて麻薬入りのボトルから飲むようになった。

しかし、医療で大きな外科手術で使用されている麻薬は、純度も高く、投与期間も長い。でも、手術後、麻薬中毒になったとは殆ど聞かない。
さらに、大規模な社会実験としてベトナム戦争がある。新兵に広く麻薬が用いられ、復帰後が心配されたが、95%が麻薬中毒にはなっていないと、厳密な追跡調査で判明した。

そこで、もしかすると「檻」がネズミを麻薬入りの水に誘導したのかも?と、疑問を持ち、改めて「ネズミの楽園」実験を行った。つまり、麻薬入りと入ってないボトルを置くまで一緒。ただ、孤独な檻ではなく、ネズミにとって楽園の環境でどうか?を観察した。エサいっぱい。仲間いっぱい。遊具いっぱい。広々したスペース。結果、麻薬入り水を摂取したネズミはゼロだった。

つまり、ネズミや人間はもともと群れていると幸せという本能がある。
繋がりがある環境下では、仲間以外の中毒性の高い物質より、繋がりを選ぶのが私たちなのだ。


結果、麻薬中毒患者を厳罰を課して社会との繋がりから切る行為は全く機能しない。逆に、繋がりを増やしさえすれば、人は自然と中毒行為を止める。人と繋がれないから、やむ無く、麻薬に中毒したのだ。

こう考えると、点が線になるようだ。

つまり、人と人との繋がりさえ私たちは取り戻せれば、幸せになれるし、大抵の事にも耐えることができる。

それは信じるレベルで無く、人としての本能レベルの出来事なのだ。

同じように、「ストレスが悪」という考えもおかしいことを、ケリー・マクゴニガルが教えてくれた。

ケリー・マクゴニガル「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」大和書房  2015.10
https://honto.jp/netstore/pd-book_29886425.html