卓越したコーチとは?

卓越したコーチとは、クライアントが求める適切なタイミングで簡素な問いを発することができる人。

売れているコーチは、マーケティングがうまいコーチであり、それは必ずしも卓越したコーチではない。

卓越したコーチと言えども、常にその力を発揮出来ない。


被援助者が少しずつ自身にとって必要なステップを経ることで変容していく。(時には大きく)だから、援助者が出来るのは、必要なタイミングで、適切な問いを投げ、被援助者の自己探求を促進すること。それが他者が出来る最大の援助。変容を「起こす」「起こさない」は、被援助者自身にかかってる。

だったら山崎さんの最新刊のように、被援助者が自らに発している問いを代えれば変わると言ってよさそうだ。しかし、そうじゃない。
「なぜ成人の発達理論のように、被援助者は健やかに発達していかないか?」には理由がある。

ストーリーにやられてしまっているからだ。

DDTと言い、迫害者・被害者・救済者のロールを周囲に割り振り、そこに嵌まっている。


山崎啓支さんが「コーチング・ハンドブック」で、「センス」というのは、被援助者が語るストーリー(意識)ではなく、無意識にある変容を求めるニーズを指摘できるか?だと思われる。山崎さんの言うセンスを押し進めると、答えは援助者にあり、被援助者はそれに依存するって可能性もありえる。だから、卓越したコーチは適切なタイミングで適切な問いを発することが出来る人なのだ。自律促進してこそコーチ。

DDTからTEDへ。迫害者・被害者・救済者のロールグルグルから、挑戦者・創造者・コーチのロールへ。


ポジティブ心理学の知見は、心理的マイナスから回復する時に有効な方法て、0からプラスに増進する時のメカニズムが違うこと。
例えば、どうやったらより夫婦関係が円滑になるか?危機に陥ってからの回復のメカニズムと、より親密になるではメカニズムが違う。

幸せに到るには、関係性・自己効力感・自律の3つが揃っていること。(デジの自己決定理論)

コーチングとは、ある特殊な関係性を被援助者と築くことにより、自己変容を加速する試み、と言えるだろう。自律を促し、「失敗してもよいからやってみよう!」を推奨する。(自己効力感)結果、幸せを実感する。「コーチがよい問いを発する」より、「被援助者に今必要としている変容が起きるか?」が重要なのだ。(山崎さんの表現だと、どこに焦点を合わせているか?)

そこで援助者の在り方で大切なのは、被援助者にはリソースが「在る」という視点。「ブランク・アクセス・クエスチョン」(「それって何でしょうね?」)を発する時に、全くの真空に「何か?見つからない?」と訊いているのではなく、「まだ言語化されない何か?がそこにありますよね?」って訊いてる。

別にクライアントに限らず、私たちは一般的に、得ているもの、在るものには目もくれず、足りないもの、無い物に焦点を合わせがち。特に相談するような悩みの場合、視野狭窄による袋小路状態に陥っている。だから、援助者が、既にあるものに、焦点を合わせ、自己拡張へシフトしやすくし、自律からの「失敗してもいいからやってみよう!」を促すことで、大きな変化を起こす。

山崎啓支「コーチングハンドブック NLPで最高の能力が目覚める 知識と経験を最大化するセンスの磨き方」日本能率協会マネジメントセンター 2016.9
https://honto.jp/netstore/pd-book_28018427.html